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分筆してから不動産をどう売却するか?メリットや分筆方法も解説

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分筆してから不動産をどう売却するか?メリットや分筆方法も解説

土地を売却する際の悩みはさまざまです。
ほかの所有者の合意が得られず、共同で所有している土地の売却が進まない方もいれば、土地の管理が難しくなり、持て余している部分だけ手放してしまいたいと考えている方もいらっしゃることでしょう。
そのようなときにおすすめなのが、分筆をしてから土地を売却する方法です。
この記事では分筆とは何かをご説明したうえで、不動産売却における分筆のメリット・デメリットや、分筆方法を解説します。

不動産売却前に知っておきたい「分筆」とは?

不動産売却前に知っておきたい「分筆」とは?

分筆とは、登記簿上1つとしてカウントされている土地を、2つ以上に分けることです。
本を1冊、2冊と数えるように、土地は1筆、2筆と数えます。
1「筆」を「分」けるため、分筆という名称となっているのです。

なぜ土地は「筆」で数えるのか

土地と筆とは何の関係もないように思えますが、その由来はかつて存在した検地帳という土地台帳にあります。
検地帳では、1つの土地に関するデータは1筆(1行)で記していたため、「1筆といえば1つの土地」と関連付けられるようになりました。
検地帳には土地の広さや地目、石高、所有者などが記されており、一部は現在の登記簿にも引き継がれています。

分筆するとどうなる?

現在の登記簿は、紙に筆で書くスタイルではありません。
不動産の基本的な情報や所有者に関する情報、設定されている権利の有無・内容などが、データとして記録されています。
分筆すると、登記簿上の「地番」が変わります。
例外もありますが、分筆前の地番が「555」の土地を2つに分けた場合、分筆後のそれぞれの地番が「555-1」「555-2」となるイメージです。
分筆方法については、最後の章で解説します。

分筆するとできるようになること

分筆をして地番が変わると元の土地の一部分が1つの土地(1筆)となり、その部分だけ売却したり、地目を変えたりすることができるようになります。
地目とは、登記簿に記されている土地の用途のことです。
「宅地」や「田」「畑」などがあり、1つの土地には1つの地目しか設定できません。
広い土地を複数の用途で使いたいときなどは、分筆すると土地を複数に分けられるため、元の広さの土地に複数の地目を設定できるようになります。

不動産売却における分筆のメリット・デメリット

不動産売却における分筆のメリット・デメリット

先ほど解説したとおり、分筆すると本来1つだった土地に異なる地目を設定できるため、土地の使い勝手が良くなります。
しかしそれは、分筆後に不動産を所有し続ける際のメリットです。
では、不動産売却において、分筆にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

不動産売却における分筆のメリット①一部分だけ売却できる

所有している土地があまりにも広大な場合は、買主が見つからないことがあります。
一部分はマイホーム用の土地として残し、余った部分を売却したいと考える方もいらっしゃることでしょう。
先ほどご説明したとおり、分筆すると元の土地の一部分だけを売却できるようになります。
広大な土地を売却したい場合は、使い勝手が良くなるように、また買主が購入しやすい価格になるように分筆してから売却すると、買主が見つかりやすくなるかもしれません。
1人だけでなく、複数人で所有している土地を売却したいときにも、分筆が良い選択肢となることがあります。
複数人で所有している不動産は、所有者全員の同意がなくては売却できません。
所有者の1人が土地を売却したいと考えても、ほかの所有者が首を縦に振らなければ売却は実現しないのです。
所有者がそれぞれ自分だけの土地を所有できるように分筆すると、自分の土地を自分の意思で売却できるようになります。

不動産売却における分筆のメリット②税金が安くなる可能性がある

1月1日時点で不動産を所有している方は、固定資産税や都市計画税を納めなくてはなりません。
これは、不動産の売り出し中に1月1日を迎えても同様です。
土地にかかる固定資産税の金額は、「固定資産税評価額(課税標準額)× 標準税率(1.4%)」で求められます。
ただし、これは一般的な土地の場合であり、使い勝手の悪い土地は減額の対象です。
分筆によって土地が変形したり、大通りと接しなくなったりした場合は、使い勝手が悪くなった土地の分だけ固定資産税が減額されるかもしれません。
つまり、同じ場所・同じ面積で土地を所有するのであれば、広く利便性の高い土地を1つ所有するよりも、狭い土地もしくは利便性の低い土地を2つ以上所有するほうが、節税になる可能性があるのです。

不動産売却における分筆のデメリット

分筆後の土地が狭くなりすぎると、買主がマイホームを建てられなくなる可能性があります。
また、地域によっては土地1つの最低面積が決まっていることがあるため、思い通りに分筆ができるとは限りません。
さらに、意味のない分筆は認められないため、節税だけを目的として分筆をおこなうのはなかなか難しいでしょう。
分筆後に万が一利便性が低いと認められて固定資産税が安くなったとしても、利便性の低さは売買価格の安さにつながります。
土地にまつわるお金の計算は複雑であるため、節税効果を期待して分筆したものの、逆効果になることもあるかもしれません。
そのため、分筆を希望する際には、事前に専門家に相談することをおすすめします。

分筆方法とは?時間やお金はどのくらいかかる?

分筆方法とは?時間やお金はどのくらいかかる?

土地を分筆して売却する際のメリット・デメリットを確認し、メリットのほうが大きいと感じたとしても、分筆は1人でおこなえるものではありません。
調査や測量、分筆案の作成といった専門的知識の必要な手続きが多くあるため、専門家に依頼する必要があります。
分筆の大まかな方法は、次のとおりです。

●土地家屋調査士に依頼する
●登記簿謄本や測量図・公図などで事前調査をおこなう
●現地調査や確定測量をおこなう
●分筆案を作成する
●境界標を設置する
●土地分筆登記をおこなう


上記の流れは一見複雑そうに思えますが、基本的には土地家屋調査士にほとんどの対応を依頼できます。
所有者がやるべきことは、土地家屋調査士に手続きを委任するという旨の委任状を書いたり、必要に応じて作業に立ち会ったりする程度です。
どの土地家屋調査士に依頼すべきかわからない場合は、先に不動産会社に相談すると、土地家屋調査士をご紹介できることがあります。
もし、ご自身で土地家屋調査士を見つけた場合でも、早い段階で不動産会社にご相談ください。
売却がスムーズに進みやすい分筆方法の提案ができるかもしれません。
土地分筆登記が完了したら、いよいよ売却活動を開始できます。

分筆にかかる時間と費用

分筆にかかる時間は、隣地との境界が確定しているかどうかで差が生じます。
一般的には、10日~1か月が目安です。
不動産売却の平均期間は3か月~6か月であるため、売却期限から逆算して手続きを進めると良いでしょう。
境界が確定していない場合は分筆が終わるまで2か月~3か月、隣地の所有者と揉めた場合は1年以上かかることもあります。
分筆にかかる費用も境界確定の有無によって大きく異なり、確定している場合は約20万円、確定していない場合は50万円以上だと考えておくと良いでしょう。

まとめ

分筆とは、1つの土地を登記簿上で2つ以上に分けることをいいます。
不動産売却前に分筆をおこなうと、本来の土地の一部分だけを売却することも可能です。
分筆をおこなう場合は調査などが必要となるため、まず土地家屋調査士に依頼することから始めましょう。


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